ミカンQ&A
ミカンあれこれ|摘果(てきか)|剪定(せんてい)|収穫(しゅうかく)|貯蔵(ちょぞう)|出荷(しゅっか)|ハウスミカン
毎年、多くの小学生がミカンについて勉強しようとJAみっかびを訪れます。
その時によく質問される内容について、お答えします。
ミカンあれこれ
- ミカンの種類
- 柑橘としては100種類以上の品種があります。大きく分けると、極早生・早生・普通・晩生・晩柑類となります。その中で三ヶ日町では「青島」という品種を選んで主に栽培しています。「青島」は、三ヶ日自慢のおいしいミカンです。
- 三ヶ日みかんの種類は?
- 三ヶ日では、早生(興津早生・宮川早生)晩生(青島)晩柑類(ネーブル・清見・ポンカン)が栽培されています。
- 三ヶ日でミカン作りがさかんなわけ
- 三ヶ日町は南斜面の丘陵地で温暖で、年間降雨量が1,800㍉とミカンを栽培するのに適した環境がそろっています。また、土壌も排水性が良い土であるためミカンを栽培する農家が多いです。
- 静岡でミカン作りがさかんなわけ
- ミカンの栽培に適している環境は、降水量が少なく、日射量が多く排水性の良い地力のある土壌です。静岡はその環境に適しているため、おいしいミカンが作れます。そのためミカン作りがさかんです。
- ミカンはどこでとれるのか
- 冬に降雪があるようなところでは、ミカンの木が弱ってしまうため、おいしいミカンが栽培できません。また、夏の温度が低いところでもおいしいミカンが作れません。一般的に神奈川県よりも北東の県ではミカンが作れないと言われています。
- ミカンは種からできているのか
- 250年前くらいのミカンは、種がありましたが、現在の皆さんが食べられている「ミカン」は基本的に種がありません。しかし晩柑類の果実が近くに栽培されていると極まれに種が入っていることがあります。
- 加工品はどのようなものがあるのか
- ジュースやシロップ漬けなどに加工されます。
- ミカン作りの問題点
- 他の作物も同じですが、ミカン作りも気候に左右されやすいです。
- うれしいこと
- 心をこめて栽培したミカンを、お客さんが「おいしい」と言ってくれるとうれしいです。
- 一本の木の消毒の量は?
- 消毒は年間を通して9回程度行っています。その時期に発生する病害虫に効果がある農薬を使用し、農薬散布をしています。農家の規模が大きければ何日も掛かって散布をすることになるし、多い人では1日に8000リットルぐらい散布をする人もいます。
- 消毒は人の害にならないか
- 農薬には法律で安全使用基準というものが設定されています。生産者はこれを守って農薬を使用していますので、害になることはありません。
- ミカンがなるまでどのくらいかかるのか
- 植えてから実がなるようになるまでは、3年から5年くらいかかります。古い木では50年生以上の木もあります。
- ミカンの木の高さは?
- 大きな木では、4メートル以上の木もあります。しかし、あまり木が大きすぎると作業が大変になるため、2メートル前後になるように管理しています。
- 1日何時間くらい働くのか
- 農家ですから「晴耕雨読(せいこううどく)」を基本にしています。農家によって違いますが、天気の良い日は朝8時くらいから、暗くなるまで働きます。冬場の忙しい時期は、選果などの仕事があるため、晩御飯を食べた後にも働きます。
- ミカン以外に何をつくっているのか
- 三ヶ日町では、牛・豚・ニワトリなどの畜産も盛んに行われています。ほかには、キウイフルーツ・花・メロンなどを生産している農家がいます。
- 接木(つぎき)とはなにか?
- ミカンには基本的には種が無いことをご存知ですか?ミカンは種で増えないため、接木という技術を利用して、増やしていきます。
- カンレイシャとはなにか?
- ミカンの木が冬の寒波による、落葉を防止するため、網のような物を掛けて、寒さをしのぎます。その網のような物を「カンレイシャ」といいます。
摘果(てきか)
- 摘果とは?
- ミカンの果実が6月~10月にかけて毎日少しずつですが大きくなります。この時期に極端に大きな果実・小さな果実を落とすことにより、果実の大きさをそろえます。病気にかかったり虫に食べられたりすると、果実の見栄えが悪くなります。この様な果実を落として品質をそろえる作業を摘果といいます。また、果実の実っている量が多すぎるとミカンの木が疲れてしまい、来年度の果実の量が減ってしまう可能性があります。これを予防する為にも摘果をおこないます。
- どうして、6月~10月まで摘果をするのですか?
- ミカンの果実は6月~10月ごろまで、毎日少しずつですが大きくなります。この時期に摘果をすると、果実の大きさがそろえやすくなります。 また、早く摘果をすればミカンの果実は大きくなりやすいのですが、早すぎると大きくなりすぎるなどの問題もあり、これは生産者の経験が重要になります。
- 「よぶんな実」とはなんですか?
- 「よぶんな実」とは、摘果をして落とす果実のことだと思います。「よぶん」でなないのですが、残す果実の品質を向上する為には必要な作業です。
- 傷ついたミカンは?
- 強い風が吹いたきに枝が揺れて、ミカンに傷がつくことがあります。最悪の場合、そこから腐敗してしまう可能性もあります。大きな傷がついて腐敗しそうな果実や、大きな風ずれの果実は摘果します。軽い傷で、腐敗の恐れの無いものは、ジュースなどの加工原料となります。
- 病害虫果実はどうするか?
- 病害虫の被害を受けた果実は、程度の軽いものについては、加工原料などへ出荷しますが、程度の重いものについては、摘果という仕事で果実を落とします。
剪定(せんてい)
- 剪定とは?
- 5月になるとミカンの花が咲きますが、その花の量をコントロールするために、のこぎりや剪定鋏(せんていきょう)を使い枝を切ります。剪定の時期は普通 2月~4月頃にかけて行われます。また、枝を切ることにより影に隠れていたミカンの花(果実)に、日照があたるため、美味しいミカンを作ることができます。
- どうして余分な枝を切るのですか?
- 余分な枝を切ることを、「剪定(せんてい)」といいます。剪定は果実や葉っぱに日光があたるようにするための作業です。
収穫(しゅうかく)
- 収穫とは?
- ミカンの花の開花は5月上旬~5月中旬ですが、開花からおよそ180日程度経過すると、ミカンの収穫が始まります。この時期の三ヶ日町は通称「切子さん」と呼ばれる、収穫のお手伝いさんがたくさん来てくれるため、普段は車の交通量の少ない三ヶ日町ですが、収穫最盛期には交通量も増えるほどです。
- 三ヶ日みかんはいつごろ収穫するのか?
- 品種によって違いますが、早生の場合は10月中旬~11月中旬・青島の場合は11月中旬~12月中旬頃になります。
- 収穫は何人で行うのか?
- 園地の規模によって違います。10アール(1,000㎡)あたり、平均で4,000kg収穫できます。1人あたりの収穫量が一日500㎏ですので、10アールを1日で収穫しようと思えば8人程度必要になります。
- 1日の収穫量は?
- 1日1人あたりのミカンの収穫量は約500㎏です。中規模の農家で最盛期には平均10人の人でミカンを収穫します。そうすると、10人×500㎏=5,000kgになります。
- 一番仕事が大変なのはいつか?
- 一番大変な月は11月・12月のミカンの収穫シーズンです。この時期は昼間はミカンの収穫・運搬・出荷作業を行い、夜になっても選果作業(良いミカンと悪いミカンを分ける作業)を行います。まさに「猫の手を借りたい」位の忙しさです。
- 収穫最盛期はいつか?
- 収穫の最盛期は早生の場合11月、青島の場合は12月になります。とくに三ヶ日は青島主体の農家が多いため、12月は猫の手も借りたいほど忙しくなります。
貯蔵(ちょぞう)
- 貯蔵とは?
- ミカンを倉庫に入れておくことを「貯蔵」といいます。収穫したものをすぐに、貯蔵するのではなく、いったん「予措(よそ)」を行います。予措とは、収穫してすぐのミカンは水分を大量に含んでいる為、そのまま貯蔵すると湿度が高くなりすぎてしまいミカンがダメになってしまうので、これを防ぐために自然の風をあてて5%程水分を少なくする方法をいいます。予措を行った後に貯蔵をします。 早生ミカンの場合は、収穫を10月下旬~11月中旬に行いますが、12月中旬頃までには出荷が終わりますので、長くても1ヶ月程度の貯蔵となります。皮が薄いので長期貯蔵にはむいていません。 青島の場合は、収穫を11月中旬~12月中旬に行います。早生ミカンに比べると皮が厚く、長期貯蔵向けのミカンです。三ヶ日の場合一番長い貯蔵は3月中旬頃までになります。
- どのくらい倉庫へ入れておくの?
- 倉庫に入れておくことを、「貯蔵」といいます。青島ミカンの場合は、皮が厚くて日持ちが良いので、12月から最長で3月まで貯蔵し、その間に出荷されます。早生ミカンの場合は、皮が薄いので、青島に比べると日持ちが悪いため、収穫を10月下旬~11月に行い、12月中旬までに出荷が終わります。
- どのように作ると甘くなるのですか?
- 良いミカンを作るためには、基本的な年間作業があります。水分をコントロールすることによって甘いミカンを作ることが出来ます。
- 農家の人にはどんな苦労があるんですか?
- 様々な機械を使うことにより、昔と比べると仕事はだいぶ楽になりました。しかし、収穫はどうしても手作業になります。収穫する労力は園地の条件によって大きく変わりますが、急斜面の畑では大変な作業となります。また、天候に左右されやすいため、天気を予測するのが大変です。
- どうやって、甘味を調べるのですか?
- 甘さを調べるには、食べてみるか、糖度計を使って糖度を計ってみるしかありません。見た目で判断するなら、ミカンの皮と実が離れて、ブカブカになっているものよりも、皮と果実がくっついていて、滑らかなものがおいしいです。
- ミカンの木は何本くらい育てていますか?
- 生産者の栽培の規模によって違いますが、目安としては10アール(10m×100m)に50本のミカンが植えられています。
- 農家でどのくらいミカンを作っていますか?
- 三ヶ日町の柑橘園地の面積は1,734ヘクタールで、三ヶ日町全体の88%が柑橘園です。
- 農家の人は全員ミカンを作っているのですか?
- 三ヶ日町では、ミカン作りが盛んですが、他にも畜産(牛・豚)や花などいろいろ作っている農家がいます。
- 日当たりの良いところが育ちやすいの?
- ミカンの葉っぱも「光合成」を行い養分を作っています。日当たりの良い園地のほうが、光合成が盛んになるため、養分がたくさん作られるため、おいしいミカンが収穫できます。
- とり方の工夫は?
- ミカンを収穫するときは、「二度切り」という切り方をします。一度目は果実から5ミリ~1センチくらい離してきり、ニ度目はハサミで果実を傷つけないように果実ギリギリのところで切ります。果実にハサミの傷がついてしまうと腐敗する可能性があり、これを防止するために「2度切り」を行います。また、つめ等でも果実を傷つける可能性があるので注意をし収穫をします。
- ミカンの食べごろはいつか
- 品種により食べごろの時期は違います。早生温州などですと、11月・12月がおいしい時期です。青島温州では12月~3月ごろまでおいしく食べれます。
出荷(しゅっか)
- どこでミカンを箱に詰めているの?
- 三ヶ日町農協のすぐ横に柑橘選果場という施設があります。そこで、農家の持ってきたミカンの大きさ、糖度、外観などで選別して、箱に詰めて大型トラックによって、市場へ運ばれます。
- 出荷する時期は「名古屋」「東京」となぜ違うんですか?
- 年内は名古屋を中心に出荷をして、年明けからは東京中心に出荷をしています。
- ミカンの出荷先は?
- 主に、東京・名古屋・静岡・浜松・豊橋などの市場に輸送されます。
- トラックは何台あるのか
- 農協には大型トラックはありませんが、運送会社にミカンを運んでもらっています。一番忙しいときは、1日に大型トラック50台が必要になります。
- 出荷の工夫は?
- ミカンは、3月に近づくにつれて少なくなります。3月にも食べたい人がいるので、その時期まで良いミカンが出荷できるようにしています。また、市場へもっていく時に、時間がかからないほうが良いので、高速道路を利用して、早く消費者へ届けられるようにしています。
- 選果(せんか)の見方は
- 選果は、玉の大きさ(大きすぎる果実と小さすぎる果実)、風ずれの被害の大きい果実、病気や虫の被害の大きい果実など、商品価値の無い果実を出荷しないために行います。
ハウスミカン
- ハウスミカンは普通のミカンと作り方が違う?
- ハウスミカンは、冬にハウス内を加温機で暖めて、ハウスの中を春の気候にし花を咲かせます。春と夏、そして秋と人工的にハウスの中の気温、水の量を調整して季節を作ることによって、ミカンを作ることが出来ます。その他の基本的な管理については、普通のミカンと作り方は一緒です。
- ハウスミカンの利点は
- ハウスミカンの良いところは、ミカンの木にあたえる水の量を自由にコントロールできることです。水の量をコントロールすることにより、普通のミカンより甘くておいしいミカンが作れます。また、ハウスの中では、外の強い風にさらされたり、害虫が入ってくることも少ないため、きれいなミカンを作ることが出来ます。
- ハウスミカンはよく売れるのか
- ハウスミカンは、4月から9月ごろまで売られています。一番よく売れる時期は、7月中旬から8月上旬です。なぜかというと、お盆やお中元用として買ってくれるお客さんが多いためです。
- ハウスミカンと露地ミカンでは費用がどのくらい差があるか
- 費用については、個人差があるため詳しくは解りませんが、一般的に、外で作られているミカンは売上の4割、ハウスミカンの場合は売上の6割が経費といわれています。ハウスの方が経費がかかる理由として、冬にハウス内の温度を上げるため、加温機を使いますが、その燃料に重油を使います。また、ハウスのビニールなどに経費がかかります。
- ハウスと露地の儲けの違いは
- 三ヶ日町の場合は、外で作るミカンのほうが主体になっているため、普通のミカンのほうが儲かります。しかし、努力してよいミカン作っているため、ハウスミカンも儲かります。畑の少ない人の場合は、ハウスミカンのほうが儲かるかもしれません。
- ハウスミカンの大変なところは
- ハウスミカンは、人工的に温度と水を調整して季節を作るため、間違えて温度を上げすぎたり、水が足りなかったりすると、良いミカンができません。農家の人は毎日ハウスに行って、木の状態を観察しなければなりません。また、収穫の時期が夏場に集中するので、ハウスの中はとても暑いです。
- なぜ、ハウスミカンを始めたのか
- ハウスミカンは、一年中いつでもミカンが、食べられるようにするため始められました。普通の外で作られるミカンは、10月から3月頃までしかありませんが、ハウスミカンは4月から9月にかけて出荷されます。