みかん
12/13 完熟早生「心」食味で年々高まる
三ヶ日みかんの高級銘柄、完熟早生「心」の人気が年々高まっています。2005年に企画された、三ヶ日町柑橘出荷組合のこだわり商品で、食味の良さから徐々にリピーターを獲得。お歳暮時期には「ミカエース」に並ぶ看板商品となっています。
2018年産は12月中旬に3日間限定で出荷しました。三ヶ日町農協の直売所でも上位等級が入荷と同時に売り切れの状況でした。こうした強い引き合いから高単価で安定し、農家が技術を向上させて挑戦する好循環が生まれています。
(写真=三ヶ日町農協の特産物直売所に入荷された「心」。お歳暮の時期は手に入りにくい)
味を最優先させた完熟早生「心」
完熟早生「心」が最優先するのは食味です。目標糖度も、三ヶ日みかんの早生ミカンの中では最も高くなっています。栽培の条件もあり園地には一定期間、水を制限し太陽光を反射する特殊なシートを被覆。これにより、葉が糖を作る光合成の作用を活性化。さらに、収穫を通常の早生ミカンよりも約1ヶ月間遅らせて、樹上で完熟させます。完成した果実は濃厚な味と色に仕上がります。
高い栽培技術
反面、栽培のリスクは高いです。長期間樹上に実らせる分、霜や鳥獣害の被害を受けやすくなります。また樹が養分を実につぎ込むため、樹勢の維持に失敗すれば、次年度の不作や最悪樹の枯死する例もあります。熟練の農家でも安定生産は難しく、三ヶ日町柑橘出荷組合員約800人の内、2018年産の出荷者は約4%ほどです。販売を担当する三ヶ日町農協の柑橘課では「『心』は食味で信頼を得てきたブランド。販売する商材としてはもっと欲しいが品質が大前提。課題は栽培技術の底上げ」と話しています。
光合成で樹の力を高める
商品の企画以来、毎年『心』に挑戦するのが河西佳宏さん(48)。「樹をいじめて、過剰なストレスで果実を甘くするのではなく、健全な樹の実力で果実を甘くしたい」と話します。ミカン作りでは光合成を行う葉をいかに多く保つかを心がけ、常にその技術を磨いています。河西さんは「おいしく作るほど、お客さんも喜び、高く評価される。もっと勉強して腕を振るう価値がある」とブランドの成長に期待しています。
(写真=心の状態を確認する河西さん。完熟の時期のタイミングはシビアで、食味のピークを見極めるという)